ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

インフルエンザの熱、下げた方がいい?

[ 2020/01/05 (日) ]
感染症によって起こる熱は下げた方が良いのでしょうか?
インフルエンザの熱、下げた方がいい?(忽那賢志 Yahoo個人 2020/1/3)がたいへん勉強になりましたので引用します。
なお、一部は新型コロナに罹ったらイブプロフェンは飲まない方が良いのか(忽那賢志 Yahoo個人 2020/3/16)により追記しました。

目次

1.発熱は、外部から侵入してきた病原体に対する生体の防御反応(発熱が起こる仕組み)
2.必ずしも熱自体が体に有害なわけではない
3.熱を下げるメリットは?
4.どうやって熱を下げるのが良いのか?
5.重症感染症に解熱薬を使うと死亡率が高くなる

1.発熱は、外部から侵入してきた病原体に対する生体の防御反応(発熱が起こる仕組み)

発熱の機序

侵入してきた病原体に対して白血球がサイトカインを産生し、体温の調節機能を持つ視床下部に作用。
視床下部が体温を上げようとすると、人は寒気を感じる。
これにより布団を羽織ったり、体を震えさせることで熱産生が起こる。
視床下部の体温調節機能が、元の体温に戻そうとすると今度は発汗することによって体温を下げようとする。
発熱反応中における 視床下部の温度と熱産生・解熱反応

2.必ずしも熱自体が体に有害なわけではない

「熱が高いと脳がやられてしまう」「熱が高いと重症だ」「熱は何が何でも下げないといけない」という考えのもと、とにかく発熱をなんとかしないといけないという考えは間違い。
感染症による発熱は通常40℃くらいまでであり、これくらいの発熱で脳に障害が出ることはない(40℃を超える発熱ではむしろ感染症以外の原因を考える)。
また発熱の程度と重症度は相関しない。感染症の中でも特に重症である敗血症と呼ばれる病態では逆に低体温になることもある。
そして、熱を下げることは感染症の治療そのものには繋がらない。
発熱自体は有害ではなくむしろ必要な生体反応。
しかし、人において発熱そのものが感染症の経過をどう変えるのかはまだ分かってない。
ですので「インフルエンザなどの感染症を早く治すために、あえて熱を下げない」というプラクティスは現時点では科学的には十分な根拠があるわけではない。
一方で、熱を下げること自体は感染症自体の治療にはならないので、熱を下げたことで感染症が早く良くなるわけでもない。

3.熱を下げるメリットは?

熱を下げることによって、発熱そのものによるだるさが取れ、発熱に付随する頭痛、関節痛、筋肉痛といった症状も緩和される。
また体温が1℃上がるごとに体の酸素消費量は13%増えると言われている。
ですので、例えば心不全などの慢性疾患のある患者では、代謝を抑え心不全の悪化を防ぐ意味で解熱薬を使用することは有用と考えられる。

4.どうやって熱を下げるのが良いのか?

熱を下げる方法は大きく分けて2つ。
  • 1つは外部から体を冷やすこと(クーリング)。代表的なのは薬局などでも売っている、おでこに貼って冷やすタイプのシート。病院では血流の多い首や太ももの付け根に氷などを当てて冷やすことが多い。
  • もう1つは解熱薬を使用すること。主に下記の2種類が使用される。
アセトアミノフェン
(別名:パラセタモール)
非ステロイド系消炎鎮痛薬
NSAIDs
Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs
市販薬タイレノールA
バファリンルナJ
など
ロキソニンS(ロキソプロフェン)
ブルフェン(イブプロフェン)
アスピリン
など
解熱効果
鎮痛作用
抗炎症作用
副作用肝機能障害胃潰瘍、腎機能障害
アスピリン喘息
(NSAIDs過敏喘息)
原典に追記しています。

これらの薬は飲んでから1~2時間後に解熱効果が出てきて、4~6時間後には効果がなくなる。
かと言ってずっと飲み続けたり多く飲みすぎたりすると副作用が出やすくなる。
解熱薬は用法用量を守って使用する。

5.重症感染症に解熱薬を使うと死亡率が高くなる

感染症全般に関するNSAIDsの使用についてはすでに否定的な報告が多くある。
  • 動物実験ではすでにインフルエンザに対して解熱剤を使用した方が使用しない場合と比較して1.34倍死亡率が高かったとする報告がある。
  • インフルエンザではないが、敗血症の患者に解熱薬を使用した場合に死亡率が高くなったというヒトでの報告もある。(この研究ではクーリングによる解熱は死亡率を悪化させなかった)。
  • 別の研究ではアセトアミノフェンの使用は重症感染症が疑われる患者への使用で特に経過に影響を与えなかったというものもある。
ということで、感染症全般で考えれば確かにNSAIDsには有害な報告が多いと言える。
特に小児のインフルエンザでは、ロキソプロフェンなどのNSAIDsを使用することで「ライ症候群」と呼ばれる急性脳症・肝機能障害を起こすことがある。
稀にですが、成人でもライ症候群の報告があるので筆者はインフルエンザの患者にはNSAIDsは処方しない。
ロキソプロフェンなどのNSAIDsは薬局などで手に入りやすい薬剤ですが、安易に飲むと副作用の方が問題になることがある。
熱の原因が感染症と分かっている場合には、自己判断で飲まないようにしましょう。

【メモ】
新型コロナへのNSAIDは是か⾮か 英・イブプロフェン使⽤に関する提⾔を発表(Medical Tribune 2020/4/23)
[ 2020/01/05(日) ] カテゴリ: COVID-19関連 | CM(0)
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