ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

PCR検査の意味(感度、特異度、偽陽性率、偽陰性率)

[ 2020/03/02 (月) ]
新型コロナウイルス肺炎に関する報道で、(『PCRはとにかく必要』との)PCR検査にこだわるものを目にします。
一方で、感染専門家からは『PCR検査には限界あり、医療リソースの浪費につながる』との意見が多く出ています。
知りたがり屋のブログ主として、理解のために(数字をこねくり回して)勉強しました。
その結果、無差別にCOVID−19のPCR検査をすることは感染対策上有意義でない事を実感しました。

目次

1.そもそもPCR検査とは
2.ダイヤモンド・プリンセスのモデルで観ると
3.このモデルが意味すること
4.なぜ、感度が低いのか?その理由は感度が様々な条件にも左右されるため
5.無症状者や軽症者を含めた無差別なPCR検査はデメリットが大きい
6.関連エントリー

1.そもそもPCR検査とは

概略を別エントリーにまとめています。PCR検査とは、検査キットとは
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2.ダイヤモンド・プリンセスのモデルで観ると

2/28現在、厚労省のホームページの情報

クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」については、延べ4,061名について、新型コロナウイルスに関する検査を実施したところ、陽性が確認されたのは705名(うち無症状病原体保有者延べ392名)


表を作るには、下記の数値を決める必要があるが、現時点で新型コロナウイルスのPCR検査の感度・特異度・罹患率はわかっていない。色々な方々が表を作るにあたり想定しておられる中で、仲田洋美医師のブログを参考にした。
想定値
A感度感染している人のうち、検査が陽性になる人の割合70%
B特異度感染していない人のうち、検査が陰性になる人の割合90%
罹患率
有病率
検査する人全体の中で、ウイルスに感染している人の割合

罹患率(有病率)を12%にすると、4,061人を検査して約700人が陽性という実際の陽性結果にだいたい合致した表が作れる。
疾患検査表01

2/28日現在で、検査陽性:705名の内、
死亡:6名、入院で症状あり:307名、入院で無症状:392名、
とのことなので、上記の表は現実と大きくは乖離していないと言えそうだ。
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3.このモデルが意味すること

疾患検査表02

擬率
C擬陽性感染していないのに、検査が陽性になる人の割合51%
D偽陰性感染しているのに、検査が陰性になる人の割合4%

陽性者の内51%,357名が擬陽性で、感染してないのに入院している。
ただし、次項に述べるように新型コロナウイルスの発症の特性があり、今後、感染症状が現れる可能性もある。

陰性者の内4%,146名が偽陰性で、感染しいるのに入院していない。このリスクは行政も認識しており、注意を促している。
国立感染症研究所からのお願い(横浜港で検疫中のクルーズ船より下船された乗客の皆さまへ)(国立感染症研究所2020/2/21)
当事者には何ら責任のないことだが、現実にこのカテゴリーから感染者が少しづつ発生しており、今後も続く可能性がある。
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4.なぜ、感度が低いのか?その理由は感度が様々な条件にも左右されるため

COVID−19特有のものと、一般的なものがあるようだ。
  • 感染の非常に初期の場合、検出可能なウイルス量を輩出していなかったりする。
  • ウイルス自体は体内の深いところ(肺の奥など)にしかいないため、咽頭や鼻腔のぬぐい液では採取できない可能性がある。
  • 新型コロナウイルスは、感染者のウイルス量がインフルエンザの1/100~1/1000と言われており、そもそも検出されにくいと考えられている。
  • サンプル(検体)が偶発的に汚染されて陽性になってしまう可能性がある。(専門家はこれをコンタミと呼ぶ)
  • 検査陽性はこのウイルスの遺伝子(RNA)が検体中に存在するということだけを意味する。【病原体をもっている】ことと【感染症を発症している】ことは違う。
参考にした論説
【偽善の帝王】上昌広【偽善の王子】岩田健太郎:続2・COVID-19をめぐるテレビ出演医師たちの虚言を暴く(仲田洋美 神宮外苑ミネルバクリニック2020/2/23)
【偽善の帝王】上昌広【参謀】久住英二【その他】大谷義夫・(薬剤師)岡田晴恵:続3・COVID-19をめぐるテレビ出演医師たちの虚言を暴く(仲田洋美 神宮外苑ミネルバクリニック2020/2/28)
新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの?  感染管理の専門家に聞きました(坂本史衣 BuzzFeed2020/02/26)
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5.無症状者や軽症者を含めた無差別なPCR検査はデメリットが大きい

ダイヤモンド・プリンセスのモデルは、隔離環境の集団であったが、仮に一般環境で感度・特異度が同じケースを考えてみる。
現状で罹患率が世界で最も高いのは、中国の武漢市で、人口1,100万人に対して罹患者が高めにみて10万人(累積罹患者2/29現在4万9000人)なので0.91%、よってモデルの罹患率を1%、その他の条件は同じとして表をつくってみるた。
疾患検査表03
  • 陰性的中者:3,618人(検査全体の89%)は安心を得られる。(症状はあるけど普通の風邪かインフルエンザらしい、とか)
  • 陽性者の内93%,402名が擬陽性で、罹患していないのに検査や医療のリソースが使われてしまう。
  • 陽性的中者:28人の中にも全く無症状の人も存在するかも。
これらが、限りある医療資源を重症者のために優先的に使う必要がある中で、重傷者を死亡から救うことの障害になりうる事、は容易に想像できる。

以下、坂本史衣医師のtweetなどから引用

  • COVID−19の治療法は確立していない中で、重症者の病気の原因がCOVID−19であることを特定することは治療の方向性を明確にするために重要。
  • 現在国内では接触歴が追えない感染者が増えている。そのためこれからのCOVID−19対策は、検査で感染者を見つけて感染の拡大を防ぐことから、重症な患者さんを死なせないことに注力する方向へとシフトして行くと考えられる。
  • これからはCOVID−19には誰もがかかりうるという前提で、軽症者は自宅で休養し、限られた(検査を含む)医療資源は重症者の治療に振り分けることが必要になる。
  • COVID−19に罹るほとんど(80%)の方は長めの風邪をひいて治る。


検査の目的が変化している中で、
  • 無症状の人、軽症の人にPCR検査をやる意味は薄い。
  • PCR検査は、医師が必要と判断した場合に実施するというルールは妥当。
などが理解できました。

PCR検査をめぐる「5つの理論」を検討する
疫学的視点から見た新型コロナ問題
鈴木貞夫 論座 2020/5/16
【小見出しと一部のキーワードのみ引用】

  • 【はじめに】公衆衛生の専門家として
    「公衆衛生の専門家」を自称しながらも、「疫学が分からない」人が次々に現れて、理論の破綻したことを言っている。
  • 【①カルピス理論】何でどのくらいの濃さで割るのかで変わる味わい
    「日本で患者数が少ないのは検査が少ないからではないか」、「日本ではPCR検査が国際的には最低水準」という話ばかり聞かされてきた。
  • 【②アイスクリーム理論】それ、因果関係ではありません
    千葉大学大学院薬学研究院および医学研究院の研究グループからの「十分なPCR検査の実施国では新型コロナの死亡率が低い」という内容の研究がテレビで放送された。
  • 【③寿司屋理論】値段が10倍だと満足度も10倍?
    小田垣孝九州大学名誉教授から『PCR検査を倍にすれば、接触「5割減」でも収束可能?』という内容の研究が報道された。
  • 【④パクチー理論】中華街で聞いたら日本人の90%はパクチー好きでした
    私の把握している限りで時系列に書くと、
    ①慶應義塾大学病院の入院、手術例のPCR検査によるユニバーサルスクリーニング、
    ②ナビタスクリニックの希望者抗体検査、
    ③神戸市立医療センター中央市民病院の外来受診者1,000人の保存血による抗体検査、
    ④山梨大学医学部付属病院の全入院患者と入院予定の患者370人のPCR検査によるユニバーサルスクリーニング
    の4つが挙げられる(表1)。
  • 【⑤下茹で理論】下茹でだけで食べたほうがいいんじゃないの
  • 【終わりに】最初の流行に対する成功を評価し、次の流行に備えよ
    最後に3月中旬に考えた私版「新型コロナに対する方針」を提示する。今でもこの考えは変わっていない。
     ① 患者数把握ではなく死亡者数最小化
     ② 病院は隔離ではなく治療を
     ③ 治療は原因ではなく症状に応じて
     ④ 検査は希望ではなく必要に応じて


【小見出しのみ引用】

  • 日本の新型コロナウイルス対策は間違っているのか?
  • 韓国やドイツと比較して日本の新型肺炎による致死率は高いのか?
  • 新型コロナウイルスに感染した場合の100万人あたりの国別の死亡者数を考えてみましょう
  • PCR検査の数が圧倒的に低い日本の新型コロナウイルス対策は間違いか?
  • PCR検査は不確実、CTの有用性と強く示唆した自衛隊中央病院の報告


【小見出しのみ引用】

  • 行政検査ではなくなることによるメリット
  • PCR検査とは?
  • 検査は万能ではない
  • 新型コロナウイルスのPCR検査でも偽陰性・偽陽性が起こり得る
  • 大事なのは事前確率
  • 受診することで感染してしまう危険も
  • 個人や地域ごとにリスク評価を


【質問部分のみ引用】

新型コロナウイルスの診断に用いられるPCR検査について、明日(3月6日)から保険適用となります。

  1. PCR検査の精度はどのぐらいですか?
  2. なぜ、保健所による行政検査は制限されていたのですか?
  3. 明日からは、検査を受けたい人なら誰でも受けられるのですか?
  4. なぜ、一般のクリニックでは検査をしてくれないのですか?
  5. 軽症でも検査で診断すれば、外出自粛などの予防につながるのでは?
  6. とはいえ、診断してもらった方が安心なのですが?
  7. 軽症のうちに診断した方が重症化が予防できるのでは?


【メモ】
日本政府の早すぎる新型コロナウイルス対応が、一周回って後手後手に感じられている件(楠川技研 2020/2/29)
追い詰められる医療現場。新型コロナ治療最前線医師に聞く、医療崩壊を防ぐポイント(大曲貴夫 Yahoo 2020/2/29)
新型コロナウイルスPCR検査の意味 もう今の時期には無駄な仕事を増やすだけ 検査のために病院に行くのはわざわざ感染しに行く愚の骨頂(中村ゆきつぐ BLOGOS2020/2/27)
新型コロナ、なぜ希望者全員に検査をしないの? 感染管理の専門家に聞きました(坂本史衣 buzzfeed2020/2/26)
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関連エントリー

コロナウイルスとは、COVID19・SARS・MERS・新型インフルエンザの比較
PCR検査とは、検査キットとは
COVID(新型コロナウイルス肺炎)の国別感染者数、死亡者数

【メモ】
感染研所長がキレた!PCR検査を巡る非難報道に猛反論(アゴラ 2020/3/2)

川内博史衆議院議員(立憲民主党)の予算委員会発言、岡田晴恵(医師でも薬剤師でもない)・上昌広医師らのテレビ発言も念頭に。


上昌広医師のデマに対し、[新型肺炎FactCheck] 「スイス製検査キットを日本政府は頑なに導入しない」は誤り(インファクト2020/3/1)

国立感染症研究所のPCR検査は、ギアゲン(アメリカの試薬メーカー)の試薬を使った検査キットで行われるように開発された。開発したのは国立感染症研究所。この他に日本のタカラバイオの試薬も使われている。2月13日にはロシュ社の検査キットも使えるようマニュアルが改定されている。


コロナウイルス、中国は症状のない患者をカウントしていない。科学者でも分かれる賛否(大西睦子 HARBOR BUSINESS Online 2020/3/1)
[ 2020/03/02(月) ] カテゴリ: COVID-19関連 | CM(0)
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