ポストさんてん日記

放射線・エネルギー・環境・化学物質・食品などの情報をアーカイブとして整理すると同時に、徒然につぶやいています。 リンクはご自由に。

PCR検査とは、検査キットとは

[ 2020/02/12 (水) ]
新型コロナウイルス感染症に関するお話の中に、その診断方法としてPCR検査や検査キットという言葉がよく出てきます。
今回はその勉強をしましたが、web上には専門的な説明が多かったです。素人のブログ主が理解できる範囲で、ごく簡単に入口部分的なところを纏めてみました。

目次

1.PCR:Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)とは
2.PCR法の全体イメージ
3.PCRの原理
 3つのステップを繰り返すことによりDNAを増幅
 リアルタイムPCRとは
4.(メモ)PCRによるCOVID検査の限界
5.検査キットはPCRと違うもの
6.関連エントリー

1.PCR:Polymerase Chain Reaction(ポリメラーゼ連鎖反応)とは

細菌やウイルスの遺伝子の一部に、「必ずこの遺伝子を持っている!」と分かっている部分がある。(例えば腸管出血性大腸菌は、必ずベロ毒素産生遺伝子を持っている。)
検出したい細菌やウイルスが特有に持っている遺伝子(DNAの特定の領域)を、数時間で10万~100万倍に増幅し、細菌やウイルスの検出を行う方法がPCR。
1983年に、米国の分子生物学者キャリー・バンクス・マリス(Kary Banks Mullis 1944 – 2019)によって開発され、その功績により1993年にノーベル化学賞を受賞。

2.PCR法の全体イメージ

PCR法のイメージ
PCR法の反応1回で元の2倍の遺伝子ができるため、これを繰り返すことで10万~100万倍まで増やす。 増やしたDNAを検出装置(上図の場合は電気泳動)にかけることで、それが目的のDNAであるかどうかを確認することができる。
目的の病原体のDNAを確認することができれば「陽性」、確認することができなければ「陰性」と判定される(定性検査)。
また、2倍ずつ増えていくPCR法の原理を応用して、細胞中の目的の遺伝子量を数値で表わすことができる(定量検査)。

実際に運用されている方法は、色々とあるようです。例えば、食中毒菌検査では、PCR食中毒菌検査
3.PCRの原理

3つのステップを繰り返すことによりDNAを増幅
  1. 熱変性(温度帯:94~96℃)
    検体の2本鎖DNAを熱によって1本鎖に分離。
  2. アニーリング(温度帯:55~60℃)
    DNAプライマー(増幅したい領域に相補的な配列をもつ1本鎖の短いDNA)を結合(アニーリング)。DNAプライマーは解析された病原体の遺伝子構成を基に合成して作る。(今や遺伝子構成がわかればプライマーを合成できる企業は多いらしい。)
  3. 伸長反応(温度帯:70~74℃)
    耐熱性のDNAポリメラーゼ(DNA合成酵素)でDNAを伸長し、元と同じ遺伝子を成形。
以上の反応を自動で繰り返し行う装置がサーマルサイクラー。
この辺りの情報はweb上に豊富です。一例としてYouTubeの【高校生物】遺伝17 PCR法(20分)
なお、コロナウイルスの場合はRNAウイルスなので、上記の反応の前に、RNAを鋳型としてDNAを合成する。(逆転写反応)

リアルタイムPCRとは
PCR法で必須であった電気泳動が不要で、よりスピーディーで コンタミネーションによるリスクの低い遺伝子検出ができる。
その原理は、
反応液の中にあらかじめ蛍光プローブあるいは蛍光色素(ある特定の光を当てると蛍光を発生する化学物質)を添加し、特別な光を当てながら反応を進める。そのとき、発生する蛍光をリアルタイムで測定する。蛍光はPCR反応の進行とともに増加する。蛍光がある一定の強さに到達するまでのPCR反応の繰り返し回数を、比較することによりDNAの量を求めることができる。

4.(メモ)PCRによるCOVID検査の限界

PDF新型コロナウイルス感染症(COVID-19)―水際対策から感染蔓延期に向けて―(日本環境感染学会 220/2/21)

5.現在、実施されているウイルス検出のための検査(PCR法)には限界があります。
新型コロナウイルスは、主に咽頭や肺で増殖しますが、インフルエンザに比べてウイルス量は少ないと考えられています。PCR法という核酸検査で増幅してウイルスを検出する方法が診断に応用されています。最初の検査で陰性で、2回目の検査で陽性となった症例も報じられました。インフルエンザに比べて1/100~1/1,000といわれるウイルスの少なさは、検査結果の判定を難しくしています。とくに早い段階でのPCR検査は「決して万能ではない」ことをご理解ください。


  • 感度:陽性の患者をきちんと陽性と診断する確率、
  • 特異度:陰性の患者をきちんと陰性と診断する確率

【メモ】
もし家族が肺炎になったら新型コロナの検査を要求するか?(NATROMのブログ 2020/2/22)
感染拡大する新型コロナウイルス 福岡伸一「PCR法が鋭敏すぎて生まれる問題」(AERA dot.2020/2/22)
新型コロナウイルス感染をPCRで判定しても、様々な問題が発生する可能性があります(桑満おさむ 五本木クリニック 2020/2/19)
コロナ、AI、放射線:「正解」のない臨床検査(上)(越智小枝 アゴラ2020/2/16)

5.検査キットはPCRと違うもの

新型コロナウイルス感染症に関して、『検査キット(診断キット)の開発が急がれている』と報道なども聞きます。
検査キットは、高度な技術が要らず一般の診療機関で手軽に短時間で検査ができるもの。
その原理は対象となる病原体によって違ってくるようですが、身近な例では、インフルエンザA型とB型の「迅速抗原検査キット」の原理は、以下のとおり。
抗原抗体反応(免疫反応)を利用した免疫法によるもの。判定部には、インフルエンザA型とB型それぞれのウイルス成分だけをとらえる抗体が使われている。検体に含まれるインフルエンザの抗原が、判定部の抗体と結合すると、試薬の発色成分によって、青色や赤紫色に見えるしくみ。(この抗体は、インフルエンザ以外の抗原とは反応しないことが確認されている。)
【参考】鼻の奥までぐりぐり、何の検査 ? (新山加菜美 科学コミュニケーターブログ2015/1/5)

関連エントリー

コロナウイルスとは、新型肺炎・SARS・MERS・新型インフルエンザの比較
PCR検査の意味(感度、特異度、偽陽性率、偽陰性率)
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[ 2020/02/12(水) ] カテゴリ: 生物・医学の基礎 | CM(0)
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